高齢の猫ちゃんが急にマーキングをしだしたら、飼い主さんとしてはとても困惑してしまいますね。そんな時は早めに原因を探して、猫ちゃんも人間も快適に暮らせるように対策をしましょう。
シニア猫を飼う際には、加齢により気遣いが必要なさまざまなポイントがあります。
高齢猫ちゃんのマーキング対策とケアのポイントについてまとめました。
猫にとってマーキングとは?どんな意味があるの?
猫ちゃんにとってマーキングは、自分の縄張りを主張するという大切な意味があります。
飼い主の身体や家具などに顔をこすりつける行為などは、あごやほほから臭い成分を分泌して自分の匂いをこすりつけているのです。
中でも一番困るのが、おしっこをかけるマーキングでしょう。これは「スプレー」と呼ばれる行為で、おもにオス猫が発情しているメスにアピールするためにおこなうものです。
多くの場合は去勢前のオス猫がスプレーをしますが、去勢後のオス猫やメス猫にもみられることがあるようです。
性的なアピール以外にも、猫ちゃんが不安な時や環境に問題があるような場合にもおこなうことがあるので注意が必要です。
どうして高齢猫がスプレーをするの?その原因を考えてみよう。
高齢の猫ちゃんがマーキング、特にスプレーをする場合は性的なアピールが原因ということはほとんどないでしょう。不安や不満からスプレーをしてしまう場合がほとんどではないでしょうか。
また、トイレでおしっこをしたくないというケースや泌尿器系の病気からおもらしをしてしまっているケースも考えられます。
ですから、猫ちゃんの様子をよく観察して原因を探ることから始めましょう。
最初に、猫ちゃの日常生活に何か新しい変化があったかどうかを考えてみて下さい。猫ちゃん目線で考えてみると、思わぬ原因に気づくこともあるかもしれません。
たとえば新入りの猫や新しいペットが来た、最近トイレや家具などの配置が変わった、近所で工事などがあり大きな音が聞こえるなど、さまざまなことが考えられます。
もしもこのような変化があったのなら、マーキングの原因はそれに対する不安感かもしれませんね。
原因と思われるものがはっきりしたら、できる範囲での対策を考えてあげるとよいでしょう。
新入りの猫ちゃんやその他のペットとは別の部屋にしたり、家具やトイレの配置を戻すなどをしてあげると良いですね。
もちろん工事の音などは変えられないものですが、その場合でも出来るだけ落ち着けるように環境を整えてあげましょう。
トイレ環境を整えることが大切
「マーキング(スプレー)と考えていたら実はおもらしだった」ということも考えられます。
猫ちゃんはトイレに関しては敏感できれい好きな生き物です。ですからトイレが汚いと他の場所でしてしまうこともあるので、今一度トイレ環境を確認してみて下さい。
まめに掃除をしてあげるのはもちろんですが、トイレの位置や猫砂などの変化などにも敏感に反応してしまうので注意しましょう。
トイレ周辺が寒かったり、エアコンの風が直接当たったりすることも猫ちゃんのストレスになっている可能性があります。
最適なトイレ環境になるように、設置場所を配慮してあげましょう。また、多頭飼いの場合にはトイレの共有が難しいので、最低でも猫の数と同じだけトイレの用意が必要になります。
可能であれば、猫の頭数に1つ加えた数のトイレを用意するのが理想的ですね。
猫ちゃんも高齢になると足腰が弱ってくるため、トイレに行くまでに間に合わずにもらしてしまうこともあります。
加齢によりおしっこを溜めておく機能も弱まってしまうこともあるでしょう。これらの現象は老化に伴うものなのでしかたがありません。
できるだけ猫ちゃんが行きやすい位置にトイレを置く、なるべく段差をなくして移動しやすようにするなどの工夫をしてあげましょう。
必要に応じてペット用オムツを利用するようにしましょう。
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病気の可能性も考えてみよう
もしかしたら泌尿器系の病気にかかっている可能性もあります。
排泄の際の痛みからトイレ以外でおもらしをしてしまうことも考えられるため、おしっこの時の様子をよく観察する必要もありますね。
おしっこの時に出にくい様子があったり、鳴き声をあげたりしていたら膀胱炎や尿道結石の可能性があります。
特に下部尿路疾患は高齢猫によくみられる病気です。
また尿道結石はオス猫に多く、放置しておくと完全におしっこがでなくなることもあります。このような重篤な状態は「尿毒症」と呼ばれるもので、命にもかかわります。
もしも少しでも異常を感じたなら、早い段階で動物病院を受診するようにしましょう。
下部尿路疾患の原因の1つに水分不足があげられます。新鮮な水をいつでも飲めるように用意してあげることが大切ですね。
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また、ドライフードからウエットフードに変えるだけでも水分摂取量を増やすことができます。高齢になると歯も悪くなるので、そのことからも柔らかいフードに変えてあげることは大切なことでしょう。
高齢猫に多い甲状腺機能亢進症もおもらしの原因になりがちです。この病気を発症すると飲み水やフードの量が増えるので、どうしてもおしっこの回数も増えてしまいます。
まずは動物病院での治療を優先させることが大切になります。
マーキングに体罰は厳禁!
猫ちゃんがマーキングやトイレミスをしてしまったからといって、大声で叱ったり体罰を加えたりするのは禁物です。改善されないばかりか、ストレスから逆効果になってしまいます。
まずはお掃除、そして猫ちゃんのストレス軽減や病気の可能性を考えることが一番ですね。
お掃除方法としては、最初に雑巾などで拭き取り、アルコールや中性洗剤で拭いてから乾かします。臭いを残さないために除菌消臭スプレーを使うのもおすすめです。
カーペットなどにおしっこをした場合はぞうきんでたたくように取ると良いですね。
高齢猫ちゃんとの暮らしは大変なことも多いですが、その分可愛く思える瞬間も多いものです。
大切な猫ちゃんとの信頼関係を失わないためにも叱ったりせずに、冷静に原因を見極めて対処していくようにしましょう。