愛猫が高齢の場合、年齢に合った生活環境を整えることが大切です。
老化現象は見た目で分かるものもありますが、検査をしないと分からないものもあります。定期的に愛猫の状態を見て、いつもと異なる点がないか確認するといいでしょう。
「臭い」も確認する項目の一つです。これから、愛猫の老化によって起こる臭いについて、原因や対策をご紹介します。
高齢猫の特徴と臭いとは?
猫が高齢になると、老化の兆候が少しずつ見られます。
高齢期と呼ばれるのが11歳~14歳で、人間では約55歳~75歳です。後期高齢期とは15歳以降で、人間では76歳以上に相当します。
高齢猫の特徴として、「顔周辺に白髪が生えた」「歯の色が黄色くなった」などの見た目で判断できることもあるでしょう。
また、「口臭」「耳や肛門からの体臭」などの臭いも老化の兆候です。
これらの確認をするためには、定期的に歯磨きや口腔内チェックをする必要があります。また、内臓の機能低下などもあるため、病院で診てもらうのもいいでしょう。
口臭の原因と対策とは?
口臭の原因
高齢猫が臭う原因の一つが、口腔内環境の悪化です。
歯に歯垢や歯石がつくと、そこに付着している菌や汚れによって臭いが発生します。
また、歯肉炎や歯周病になっている場合も、口臭が出やすいです。
歯肉炎とは歯周病の前段階で、歯茎のみが炎症を起こしています。
歯周病は歯石に付着した菌が原因で、歯を支える骨が溶けた状態です。つまり、歯を支えにくくなり、グラグラと揺れる可能性もあります。
猫の口臭は菌の代謝物によって、強めのアンモニア臭になることが多いです。
鼻にツンとつくような臭いのため、猫と接している時に気付きやすいでしょう。毛づくろいで舐めた後は、体毛から臭いが発生します。
高齢猫は免疫力が低下しているため、歯周病になりやすいことが特徴です。
特に、糖尿病や猫白血病ウイルス感染症・猫免疫不全ウイルス感染症になっていると、免疫力が低下しているため歯周病を引き起こしてしまいます。
また、歯周病をそのままにしておくと、原因菌が出す毒素が入り込み、心臓病や免疫に関する病気の発症や悪化に繋がりやすいです。
よって、免疫力が低下した高齢猫は、定期的に口腔内環境を確認した方がいいでしょう。
口臭の対策
口臭の対策として、「家庭での歯磨き」「病院でのスケーリング」があります。
口臭がある場合は、最初に病院で診てもらい、適切な治療やアドバイスを受けた方がいいでしょう。歯周病を改善するブラッシング方法を習い、家庭で歯磨きすることも大切です。
また、口腔内に歯ブラシや飼い主の指が入っても噛まないように、小さい頃から歯磨きの習慣をつける必要があります。
しつけが不十分な成猫から飼い始めた場合は、トレーニングが必要です。最初は厚手の手袋やガーゼを使用して、歯ブラシをしても噛まない習慣をつけましょう。
歯を磨く時は、頭を固定して親指で上の唇をめくります。猫用の歯ブラシを使い、一本ずつ磨いていくことが大切です。
歯周病になっていない猫の場合、指にガーゼを付けて磨くだけでも構いません。
しかし、口臭のある猫は、しっかりと歯ブラシを使い、臭いの原因菌を取り除きましょう。
歯面だけでなく、歯と歯茎の間をしっかりと擦り、歯茎の中から汚れを掻きだすように磨きます。
また、歯肉炎や歯周病の猫は、歯茎から出血することもあるでしょう。出血していた場合、汚れを取ってから、歯茎をマッサージすることも必要です。
病院でのスケーリングでは、専門器具を用いて、歯垢や歯石を除去します。
専門家によって施術するため、本格的なクリーニングができるでしょう。
口臭や歯周病の程度にもよりますが、2ヶ月~4ヶ月に1回のスケーリングで十分な効果があります。
病院でのスケーリングには、麻酔をする方法としない方法があり、麻酔をしない方法が一般的です。
しかし、歯石の量が多い場合や猫が暴れてしまう時は、全身麻酔をかけてスケーリングをします。麻酔をかけた場合、歯茎の中や裏側などもケアでき、歯石の除去に効果的です。
ただし、高齢猫の場合、麻酔による体への影響もあるため、主治医と相談するようにしましょう。
体臭の原因と対策とは?
猫は一般的に体臭がしません。綺麗好きかつ狩猟動物のため、臭いは少ないことが特徴です。
また、日向で寝る猫も多く、日光の殺菌効果で体臭がしないとも言われています。よって、猫で体臭が気になる場合は注意した方がいいでしょう。
体臭の原因として、「肛門嚢」があります。
これは、肛門に分泌液が溜まる袋のことで、通常は尿や便と一緒に分泌液は出ています。しかし、老化やストレスが原因で、分泌液だけが出てしまうことも多いです。
その場合、体臭として臭いが発生します。肛門から臭いがある時は、病院で診察を受け、適切な対処方法を教えてもらいましょう。
内臓の状態が悪くなるのも、体臭の原因です。
胃の調子が悪くなった場合は、口腔内から臭いが出てしまいます。
また、感染症になると腸の調子が悪くなり、下痢や軟便になる可能性が高いです。高齢猫になると癌になることも多く、体臭の原因になります。
これらの対策も、定期的に病院で診てもらうこと、感染症に関する予防接種を受けることが大切です。
猫も、高齢になるほど動物病院を受診する機会が増えるのが一般的です。病気のリスクが高い高齢の猫は、1年に数回の健康診断が必要と言われています。 定期的なワクチン接種もしなければならないため、高齢猫は動物病院に行く回数がかな …
臭い対策には、生活環境を改善することが必要!
臭い対策をする時は、生活環境を改善して、少しでも臭いを取り除くことが大切です。
臭いは老化現象の一つですが、臭いが体毛にしみこまない対策はできます。
例えば、頻繁にトイレの清掃をするといいでしょう。高齢猫は腎機能が低下してくれると、頻尿になります。また、トイレとしつけた場所以外で尿や便をもらすようになり、掃除も必要です。
特にカーペットやソファーなどにもらすことが多く、布製品の上でした場合はすぐに洗うようにしましょう。
高齢猫が起こしてしまいがちな問題がトイレ問題です。昔はしっかりトイレで排泄できていたのに高齢になってからはどこでも粗相をしてしまう、そんな問題に頭を悩ませている飼い主さんも多いのではないでしょうか。 そこでおすすめできる …
掃除をしないでそのままにしておくと、部屋自体に臭いがしみついて、体毛にも臭いが付く可能性が高いです。
さらに、猫から臭いが発生していることに気付きにくくなり、適切な対処も遅れてしまいます。
トイレの回数が多くなり、頻繁に掃除ができない時は、猫砂を変えるのも一つの手段です。
強力な消臭作用があるものを選択すれば、掃除の回数を減らせます。また、脱臭機を設置すると、オゾンなどの力で匂いを分解することが可能です。
脱臭機は脱臭効果が高く、部屋自体の臭いを除去できます。
高齢猫の臭いに気付くためには、部屋自体の臭いを除去することが大切です。体毛に臭いがしみつくのを防ぐためにも、脱臭機を取り入れるといいでしょう。